人間ラブドール製造所のラブドール【りんね】のお話

人間ラブドール製造所のラブドール

今年の目標のひとつで、「人間ラブドール製造所でラブドールをお迎えしたい!」と宣言していたのですが、思わぬ形で叶ってしまいました。
とある春の日、ラブドールオーナー様から至急にとのご相談をうけ、処分に困っていたラブドールを人間ラブドール製造所のラブドールとしてお迎えすることになりました。
数年ダンボールの中で放置されたそのラブドールはTPE素材でできているためシリコン製ドールと比べると非常に脆く、可動部分に負荷がかかり大きく裂けており、自立も座りも難しい悲惨な状態でした。
お迎えした時点でお別れが近いことが決まっていることや、開封されずにダンボールごとゴミとして廃棄処分されていた可能性があったこと。

人間ラブドール製造所で突如迎えたラブドール、きっと意味があることなんだろう。
そう思い、この子がまた新しく生まれ変われるよう輪廻(りんね)と名付けました。

寝たきりの状態から骨格を少しずつ整えていき、なんとか座れる程度まで骨格調整をしましたが、裂けて剥き出しの関節部などは痛々しいままだったので「人間ラブドール製造所の隠れ子」としてリビングに置き、お披露目することなく最後の時まで過ごしてもらう予定でした。

元オーナーさんから引き取った時のりんね。
100cm級の小さな子ども型ラブドール。
顔も不機嫌そうでスネてます。
まだこの頃のりんねはまっすぐ座れませんでした。

ウイッグをカットしたり
TPEドールのメリットのひとつ、人間と同じメイク道具が使用可能なのでメイクを変えたり

そうこうしているうちにどんどん可愛くなっていくりんね。

りんねを迎えて数ヶ月経った頃、ちょっと思うところがあり、りんねを人間ラブドール製造所のラブドールとして公表することにしました。
人間ラブドールちゃんがお越しになるときにはウェルカムドールとして玄関でお迎えしてもらったりしています。

りんねに手をかけて過ごすうちに、
「処分や廃棄だけではなく、りんねとお別れする時はお葬式をしてあげたい」
と思うようになりました。
いずれくる廃棄処分のために業者を探し、りんねをサンプルで持ち込んだところ、預けた姿とは想像もつかぬ酷い姿でかえってきました。

この頃の状態でも破損が激しいのに、更に機材で切り込みを入れられており、背中もぱっくりと切れていました。
りんねに申し訳なさすぎて抱きしめて泣きました。

第三者から見ると、ラブドールは性的対象だけのものかもしれません。
しかし、ラブドールとの過ごし方はラブドールオーナーさんごとに違います。
さらに子供サイズのラブドールがSNSでバッシングされている時期でもあったので余計に悲しく、悔しかったです。

「りんねはこの状況を伝えるために私たちのもとに帰ってきてくれたのかもしれない。」
そう思うようになりました。
可能な限り、りんねと一緒に過ごそう。
そしてラブドールが朽ちていく姿も把握したうえで、ラブドールをお迎えする人が増えると良いなと思います。
むきだしの傷口が痛々しいと感じる方もいらっしゃるかもしれません。
それでも、りんねはそのままで美しいと思うのです。

先日の東京出張期間中はりんねも東京でウェルカムドールを務めました。
数年間ダンボールの中で過ごしたりんねに、見たことない世界を沢山楽しんでもらいたい。
そしてりんねの最後の時は、りんねがもうつらい思いをしないように我々が責任をもって解体しよう。
人間ラブドール製造所にお越しになったら、りんねを抱っこしたり、手に触れてみて下さい。
写真からでもラブドールと過ごす人間、人間と過ごすラブドールの何かを感じていただけていれば幸いです。

人間ラブドール製造所にはりんねの姉妹もいるのですが、それはまたの機会に。

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